消防ホースのアップサイクル ~廃材に新しい価値を見出す挑戦~
2024年から私は、リメイクやアップサイクル事業に携わる機会をいただきました。その中で、ある興味深い依頼を受けることになりました。それは「消防ホースのアップサイクルについて、縫製技術を活かして何か新しいことができないか」というものでした。
ご依頼いただいた清水商工さん
清水商工さんHP
https://www.shimizushoko.co.jp/
実は、消防ホースのアップサイクルは既にいくつかの自治体や企業で取り組まれています。動物園やペット用品など、様々な形で生まれ変わっているのです。しかし、まだまだ可能性は広がっていると感じています。
目次
知らなかった!?消防ホースの運命
消防ホースには耐用年数があることをご存知でしょうか?
使用しない状態でも約10年、使用した場合は6~7年程度とされています。私たちの身近にある施設や学校などでも見かける消防ホース。これらは一定期間が過ぎると、必ず交換しなければなりません。
では、使用期限を迎えた古いホースはどうなるのでしょうか?実は、その多くが廃棄処分となっているのです。あらゆる耐久テストをくぐり抜けてきた頑丈なホースたちの最期が廃棄処分だという事実を、私も最近まで知りませんでした。
アイデアを求めて
そこで私は、様々な方々に「消防ホースでアップサイクルしたいのですが、何かアイデアはありませんか?」と質問を投げかけてみることにしました。
最も多かった回答は、財布やポーチといった革製品に近い発想でした。しかし、消防ホースならではの特徴も見逃せません。例えば、水を通さない性質や、シリコンが付いているという特徴は、通常の布や革製品にはない魅力です。
実際に消防ホースのアップサイクルとして実用化されている、バッグ、ポーチなどの製品もすでに存在しています。
それ以外で何か使えそうなアイデアをいろんな方にインタビューしてみました。
特に印象的だったのは、様々な職種の方々から寄せられた専門的な視点からのアイデアでした
農園・現場関係者からのアイデア
- プロポケット
- スプリンクラー農機具
- コンポストバケツ
- 雑草防止用シート
- 長物専用プランター
医療職関係者からのアイデア
- お風呂用品
- 介護用バッグ
子育て世代からのアイデア
- 書道ケース
- プールバッグ
などなど
いろんな職業の方からの意見はとても貴重でした。
アイデアの具現化への挑戦
アイデアを出すのは簡単ですが、それを形にするのは別の話です。実現するために、私は様々な実験と実践を重ねました。
まず、切断作業から始めましたが、布の部分に引っ掛かりがあるとほつれが発生するという課題に直面しました。ライターでの端処理も可能ですが、大量生産を考えると現実的ではありません。
ミシンでの縫製も試みましたが、これが予想以上にうまくいきました。ただし、糸調子の調整には苦心しました。特にシリコン部分を下にして縫うと下糸が乱れやすく、当て布を使用することで改善できました。
ホース同士を繋いで幅を作る際は、ジグザグミシンでも縫えましたが、効率を考えると布で挟んで縫う方法が最適でした。
こうした試行錯誤を経て、以下のような製品が完成しました(写真なくてすみません)
- バケツ型バッグ
- 道具入れ(プロポケット)
- 滑り止めシート
特にシートは、ホースの内側の特性を活かした滑り止め効果が予想以上に優れていました。ただし、細長いホースをシート状に加工する技術には、まだ改良の余地があります。
実践例:横浜オリーブさんから作業袋のご依頼
ご依頼いただいたのが、作業服を専門で扱っている場所だったこともあり、プロポケットが非常に評判でした。
ちょうど来店時に目にとまり、お仕事の依頼をいただきました。
横浜オリーブさん
横浜オリーブ様向けの特別仕様を開発することになりました。
ロゴもしっかり
ペン差しのリクエスト
大量注文ありがとうございます
剪定鋏などの収納に適したスペースと、太めのペンが刺さるポケットを設計。実用性を考慮して、シリコン側を内側にすることで、汚れにも強い仕様としました。
園芸用品と消防ホースの相性の良さを実感できた事例となりました。まだまだ新しい使い道が見つかりそうです。
まとめ
このプロジェクトを通じて、アップサイクル事業の可能性を実感しています。これからも少しずつ、「もったいない」を「価値あるもの」に変えていく挑戦を続けていきたいと思います。
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